湯長谷の日記

佐々木蔵之介さんを推しています。蔵之介さんがかわいいとだけ書いてあるブログです。

アンドリュー・ゴールドバーグは何してる

先日、4月15日、めちゃくちゃ尊いテレビ番組ありましたね!テレビ朝日『あいつ今何してる?』で蔵之介さんが出てました!そして、今何しているか知りたい人は…『マクベス』のときの演出家、アンドリュー・ゴールドバーグさん!

地上波で蔵之介さんのマクベスに関わる貴重な映像を見ることができるなんて…長生きしてよかった…!私はほんとにめちゃくちゃ最近ファンになったばかりなので、見ることのかなわない昔の舞台へのあこがれがはちゃめちゃに強いです。特に、ディスク化もテレビ放映もされていないっぽい『マクベス』への、かなうことのない思慕の念みたいのが強すぎて生霊が出るレベルです。そんな私にとって、今回の番組はほんと福音のようなもので、尊すぎて聖典にしたいくらい。

蔵之介さんの『マクベス』は、もともとNTS(National Theatre Scotland)で初演がなされ、その後ニューヨークに行き、そして、日本に来たという来歴があります。蔵之介マクベスにあこがれてる、というのならば、そのあたりの流れを一度頭の中で整理しておきたいなとは思っていて、今回テレビでアンドリューのご尊顔を拝見したのをいい機会として、いろいろネットで読める記事を掘り起こしてみました。ということで、NTSマクベスと蔵之介マクベス周りで読んだものを、覚書兼リンク集みたいな感じになりましたが、まとめて残しておこうと思います。

 

 

 NTS版の演出と主演

本家マクベスは、演出:ジョン・ティファニーアンドリュー・ゴールドバーグ、主演:アラン・カミングスコットランドのトラムウェイ劇場で17回の公演を打ったあと、NYでも上演されました。(トラムウェイでの公演は2012年6月。NYのリンカーン・センター・フェスティバルでの上演が同年7月。2013年に、ブロードウェイEthel Barrymore Theatreで73回の上演。)


まず、本家の公演について読める紹介記事がこちら。

www.cinematoday.jp

アラン・カミングとジョン・ティファニーについてはこちら。

ja.wikipedia.org

en.wikipedia.org

最初からいきなりマクベスから話が逸れるのですが、アラン・カミングは2006年に『BENT』で主役を演じているんですね。なんだか不思議なつながりを感じて勝手にときめく…。蔵之介さんに『マクベス』の次に『BENT』の話が上ってきたの、アンドリュー界隈から勧められたとかそんなエピソードあったりしないかしら(オタクの妄想の暴走)。

 

en.wikipedia.org

演出家のジョン・ティファニーはイギリス出身です。出身地はイングランドですが、スコットランドグラスゴー大学に進学した(最初は生物学を専攻、その後演劇を学ぶ)ことが、スコットランドとのご縁の始まりだったのでしょう。スコットランドの劇場をベースに演劇人としてのキャリアを積み、NTSでは『マクベス』の前にすでにアラン・カミングギリシア悲劇の”The Baccae”で作品を作っていたとのこと(2007年)。

ちなみに、最近のジョン・ティファニーのニュースとしては、2016年にウエストエンド、2018年にブロードウェイで上演された舞台版ハリー・ポッターを演出していて、これはトニー賞ローレンス・オリヴィエ賞を受賞していて、とても高い評価を受けています。世界各地で上演された後、日本に来ることが発表されていて、2022年夏に上演が予定されています。

アンドリュー・ゴールドバーグについては、この私のブログ記事のもう少し後のほうに載せます。

 

話はNTSマクベスに戻りまして、こちらが、トラムウェイ劇場のサイトに残る、スコットランドでの上演の時のイベント情報です。

www.tramway.org

気になるのは”Please note there is brief nudity in the production”の一文。えっ、それってどの程度の?いわゆるその、フルで?たぶん、スコットランド公演もニューヨーク公演もディスク化されてないように思うのですが、その理由はこれだったりする…?演劇界、その程度のことで怯むものではない…?

そして、こちらは、ニューヨーク公演の時のイベント情報。アラン・カミングの紹介のところで、1985年に『マクベス』のマルカム役で舞台デビューを飾ったって書いてあります。御年20歳、wikipediaでは遡れなかったのですが、どこかのインタビューで、学校を出たあとすぐに、みたいなことを語っていたくだりがありました。他の記事の中で、アランの『マクベス』への想いみたいのが見えるときがあったのですが、スコットランド出身ということに加えて、こんな経験も影響しているのかもと思いました。

www.newyorkcitytheatre.com

前述、アランの『マクベス』への想いが書いてある「他の記事」、こちらです。

www.bbc.com

He said: "I have been obsessed with Macbeth for as long as I can remember. It was the first Shakespeare I ever read, the first I was ever in and it continues to haunt and inspire me."The only thing I can think of more exciting, challenging and terrifying is to do a one-man version of it with these great directors and this great company and to perform it in my two favourite cities in the world, Glasgow and New York."

 

NTS版のレビュー記事

 NTSマクベスについて、いくつかのレビュー記事もありました。

まずはスコットランド公演について、ガーディアン。ガーディアンは読むのに登録が必要かもしれません。

www.theguardian.com

 

こちら、テレグラフテレグラフは有料だったので、まだ読んでいません…。とりあえず、記事があったよ、ということだけで…

www.telegraph.co.uk

 

他にもこんなレビューも。

www.britishtheatreguide.info

 

ニューヨーク公演についてのレビューはこちら、ニューヨーク・タイムズ。(ちょっとアイキャッチが大きすぎるので他とリンクの体裁が違います…)

Alan Cumming in ‘Macbeth’ at Lincoln Center Festival - The New York Times

 

アランのマクベスの様子の動画、1分程度…。

www.youtube.com

 

こんなページも見つけました。オープニングパーティーの様子。アランのキルト、素敵よ!フサフサおみあし…!ジョン・ティファニーアンドリュー・ゴールドバーグとの仲良しショットもあります。

www.gettyimages.co.jp

 

蔵之介マクベス概要

 そして、ずいぶんと前置きが長くなりましたが、蔵之介マクベス関連情報もまとめて置いておきます。まず、パルコでのイベント情報ページ。

stage.parco.jp

 

制作発表(2015年2月12日)の様子の文字起こし。本家のほうができた流れも説明されています。最初はアランがマクベスマクベス夫人の役をスイッチするリーディング公演(朗読劇ていうこと?)から始まったみたいな話が語られています。

enterminal.jp

細かいことですが、トラムウェイとリンカーンセンターの公演は同じ年で、その翌年がブロードウェイなんじゃないかなあとは思います…。

 

他にも制作発表の時の記事。

okepi.net

 

公演直前の記事。写真のキャプションに「以前より痩せたように見える」って書いてある…!お身体ご自愛〜!!

www.sankei.com

 

初日(7月13日)の囲み取材。

www.cinemacafe.net

 

演出のゴールドバーグ氏は佐々木さんを絶賛。「作り上げていくプロセスの中でアラン・カミングを思い起こさせる部分が数多くありました。決して2人が俳優として同じ選択をしているという意味ではなく、知性派で直感に優れ、オリジナルの芝居を試み、努力家という点で近いものを感じています」と語る。

 

ゴールドバーグさん!私たちの蔵之介を褒めてくださり、ありがとうございます!本当に嬉しいです!もっと褒めてください!褒めちぎってください!なんだったらKuranosuke Sasakiがいかに最高かについて2時間くらい語る講演会をお願いします!

『あいつ今何してる?』の番組の中でも、ゴールドバーグ氏が蔵之介さんのやり方を尊重して準備を進めてくれたことが語られていて、ほんとアンディ、笑顔が優しくて知的なタフさがある感じで、素敵だわ…って思いました。

 

アンドリュー・ゴールドバーグ氏について

 というわけで、順番が後の方になってしまいましたが、アンドリュー・ゴールドバーグ氏の来し方について書いてあるものも読みました。

2013年4月に大学のサイトに掲載された、学生紹介記事。この時、ゴールドバーグ氏は、Brooklyn College of The City University of New York(ニューヨーク市立大学ブルックリン校)にて、Performance and Interactive Media Arts Program(PIMA)というプログラムに在籍。スコットランドでの公演を終え、ブロードウェイ公演を控えている段階で、この記事にも『マクベス』についてしっかり書かれています。

https://www.brooklyn.cuny.edu/web/news/bcnews/bcnews_130430.php

ちなみに“Two weeks after our opening I’ll be defending my thesis.”((ブロードウェイの)オープニングの2週間後に論文審査があります。)とか、書いてあって、アンドリュー、本当に学生じゃん!と思ってなんだか微笑ましくなりました。

併せて、PIMAでの紹介ページも載せておきます。

www.pima-brooklyncollege.info

 

アンドリューは1993年にスタンフォード大学でEnglishの学位を取得し、シェイクスピアへの情熱と共に演劇の世界で仕事をします。卒業後にOregon Shakespeare Festivalで仕事をした後、オフ・ブロードウェイの劇団”The New Group”に参画します。「オフ・ブロードウェイ」という言葉、浅学故に初めて知ったのですが、いわゆるブロードウェイ的なシアターと対比して小規模で新しい感じの作品に挑戦していく雰囲気の劇場群のことなのですね。

thenewgroup.org

ja.wikipedia.org

ここでアンドリューは作品選びから本読み・読み合わせの仕切り、脚本家との打ち合わせなどなんでもやってきた感じです。The New Groupで5年すごした後、フリーになり世界各地で演劇の指導・演出・プロデュースをすることになりました。

アンドリューの情熱の根底には常にシェイクスピアがあり、その後の活動も、「ニューヨーク周りでシェイクスピアで面白いことをやっている人」という立ち位置だったのかなと思います。2000年、ニューヨーク大学の4人の学部生と作ったシェイクスピアの『間違いの喜劇』をもとにした”Bomb-Itty of Errors”で大きな評価を受け、ニューヨーク以外のいろいろな場所でも上演を行ないました。

あと、この記事を読むくらいで推測したことなのですが、アンディの来歴を語るに「teach」「train」というワードが使われることが多いのは、演出家による演技へのアドバイスみたいなところを含め、もっと広い意味での演劇人の育成を、確固たるメソッドをもってやっていきたいみたいな意識が強いからかなと思いました。興味深いワークショップもやっていたみたいですし、今も大学で研究し教えるというところに軸足をもっていこうとしているあたりにも、そんなスタンスを(勝手に)感じます。

その後、PIMAに入り、分野横断的なバックグラウンドを持ったクラスメートたちから影響を受け、演劇とそれ以外の芸術、芸術とテクノロジーの関係についての視野を深めるようになったとのことです。

そして…そして、ジョン・ティファニーと『マクベス』を作り出すに至るわけです…!

So when the Tony Award-winning director of "Once," John Tiffany, shared with Goldberg his frustration about a reading of Macbeth with Scottish actor Alan Cumming, of "The Good Wife" fame, Goldberg explained his decade-old idea of staging Macbeth as a soliloquy. His goal was to strip away the political and historical elements from Macbeth in order to delve into the mind of the murderer.The play has no battle scenes, no fancy period costumes, and just one actor. The character, admitted to a psychiatric ward by two nurses, recounts in Shakespeare’s original words the tragedy of Macbeth, king of Scotland. Cumming plays all of the characters and it becomes challenging for spectators to decide whether the character is Macbeth recounting his deeds or a madman in the twilight of his sanity.

ジョン・ティファニーアラン・カミングマクベスの朗読劇の出来について相談したところ、アンドリューは長いこと温めていた、マクベスを全て独白で演じるというアイディアを出してくれました。政治や歴史といった要素を排除し、殺人者の心の中を表現することに注力したかったのです。これがNTSマクベスの最初の最初…!尊い!オタクにとっては、有史以前の神々の時代の神話みたいに思えるよ!

あと、ジョン・ティファニーとアンドリューのインタビュー動画も置いておきます。内容は上掲の内容と重複していますが、朗読劇の時に新しいマクベスに挑戦しようとしたアランの演技にアンドリューが感銘を受けて、その試みをさらにいいものにするためにアイディアを出し合ってきたということが語られていたり、新しいマクベスを作ることへの意気込みみたいのがとてもよいです。

www.youtube.com

 

これが、蔵之介マクベスに先立つNTSマクベスと、蔵之介さんが懐かしく慕うアンドリュー・ゴールドバーグ氏の物語です…合掌。

 

しかしながら、Google検索で2ページ目くらいまでざっと見るという浅いリサーチ程度で出てくるのはこのくらいの話で、蔵之介マクベス以降のアンドリューの活動がなかなか見当たらず、確かに蔵之介さんが「あいつ今何してる?」と思うのもさもありなんという感じでした。2015年夏に蔵之介マクベスがあって今で4年半くらいか…現場と図書館を行き来しながら博論を書くのにちょうどいい期間なのかなと思いました。

ネットの海をサーフィンするくらいでは、どうしてこのNTSマクベスが日本にやってきて、しかもどうして「佐々木蔵之介」が選ばれたのかまではわからないのはまあしょうがないかなと思いますが、私の今世での夢はアンディと川床のお店に行ってそのあたりを聞きながらお酒を飲むことです。

あと、やっぱり、英語ネイティブスピーカーの人にとって、しかも、ずっとシェイクスピアと深く付き合ってきた人にとって、いきなり日本語のマクベスを作るっていうのは、ほんと、どんな感覚だったのだろうってすごく気になります!日本語ネイティブの人間にとっては、日本語のシェイクスピア劇を見ればそのまま楽しめるし、英語のシェイクスピア劇を見れば「ああ、やっぱりシェイクスピアは英語だな」っていう当たり前なことに思い至るわけで、両方ともそれなりに享受できると思うのですが、アンディにとって日本語っていうのは、ほんと小川のせせらぎみたいな音に聞こえる未知の言葉じゃないかと思うのですが、どんな風に思って稽古の場に立っていたのでしょうね。これも来世あたりで川床のお店に一緒に行って聞いてみましょう。

なんだかやたらとだらだら長くなってしまったし、ネットでの情報を寄せ集めただけの薄い編集がアフィリエイトのための芸能ブログみたいになってしまってなんだかな…という気持ちになっていますが、見ることの叶わなかった蔵之介マクベスへの私の執着がすこし弔われたのではないかしら…。

ほんとにさ〜、テレビでちょい出しした蔵之介マクベスのいい映像あるじゃん?あれ、ディスク化して!!お願い、関係者様!!

 

 #佐々木蔵之介 #アンドリュー・ゴールドバーグ #AndrewGoldberg 

 

yunagaya.hatenablog.com