湯長谷の日記

佐々木蔵之介さんを推しています。蔵之介さんがかわいいとだけ書いてあるブログです。

『君子無朋』感想2回目(※ネタばれ注意)

もう旅公演もはじまって、いろんな都市で上演されている様子やいろんな方の感想も目にすることができて、自分が見ることができた東京公演もずいぶんと昔のことのように感じたりもしています。
私は『君子無朋』は2回見ることができました。1回目を見た時の感想は前回書いた通りです。
2回目も堪能して(そもそも1つの演目を複数回見るという経験が初めて!)また腑抜けのようになって帰宅し、家族の目を盗んで感想でも書き散らかそうかなと思っていた電車の中でびっくり仰天するような連絡を受け、観劇の余韻も吹っ飛ぶような思いになったのは自分のツイートにも書いた通りです…。

 

まったくもうねぇ…。

そんな感じではあったけど、人間、いつか劇場から現実の世界に戻ってこなくてはいけないからね、身も心も。いくつか覚えていることをメモしておきますね!

 

中村蒼さん

中村蒼さんがぐっと濃くなった気がした!何がかしらね、表情?私が見た1回目から2回目までの間に5歳くらい歳をとったように見えたよ、いい意味で!お若いから1つの作品の中でどんどん変化するのかしらって思いました。

クリムト

雍正帝が父・康熙帝と対峙するときのシーン、2人とも立っている時のことだけど、クリムトの『接吻』に見えませんでした?ライトを浴びて輝いている衣装が金色に見えて、背の高さの違う2人の人物が寄り添いあってみたいな感じが。いや、『君子無朋』の2人は寄り添いあってとかじゃないでしょ!と言われるかもしれなけど。

これは全然、表象論的な話をこじつけようとしているとかではなくて、純粋に「連想した」っていうだけの話です。でもさ、こういう、交わらない2つの世界が自分の中で1つのイメージを介して偶然に結びつくとき、自分の中の「美しさを受け取るチャネル」みたいのがザバーって開く感じがあって好きなんですよね。

見る角度

2回目もね、すごい前の方だったのですが、実はね…今だから気持ちも落ち着いて言葉にできるのだけど、1回目が本当に神席!!!!!!!!!!あああああああーーーーーーーーーー!!!!!もうまじ神!!!!!!!!神の見えざる手が見えた瞬間よ!!!!!ていうか、まったく落ち着いて言葉にできていない!!!!!!!!!!!

2回目もね、列としてはかなり前だったのですが、割とはじっこのほうで、これが前の席の方との頭の重なりのせいで微妙に見づらく…いや、贅沢な愚痴ですよね!だけど、後ろの方でもかまわないので、傾斜がついて前の人の頭を見下ろして舞台を見られる席っていうのもよかったかなとちょっと思いました、人間、どこまで欲深なことを思うのやら、猛省せよ!

それはさておき、そんなわけで、2回それぞれの角度から作品を見たのですが、見る席によっても受け取る雰囲気って変わるんだなあって思いました。2回目は康熙帝とのシーンなんて、康熙帝の背中側から見るとすごく無抵抗で無力な老人みたいに見えて、不思議なものだなあ…って思いました。舞台作品は毎日毎日違うものができているだろうし、しかも、見る側のまなざしの数だけ受け取り方があるのかと思うと、どれだけ多面的なのかって途方もないなって思ってしまいました。

あのまなざし

ていうかねえ、見る角度の話の流れで言っちゃうね!これも今だから落ち着いて言えるのだけど(絶対落ち着いてなんか言えない)、1回目の神席の時、ほんとのほんとに、蔵之介さんの渾身のまなざしをほぼ真正面から堪能した瞬間があるんです。今でも、その瞬間のことだけ、はっきり思い出せる…。ふぅ…意外と落ち着いて言葉にできた…。その時のことを思い出そうとすると、あまりに高まりすぎて脳がシステムエラーになるというか、思い出が鮮明すぎて心が虚無になるというか。逆に言葉を失う自分がいるわ。

もうね、意味わからないと思うけど、その時の私、ほんとうに耐えられなくて目をそらしてしまったんです、違うところきょろきょろ見ちゃった…。何言ってるの、頭おかしいんじゃないの、そんなチャンス二度とないんだよ、ちゃんと刮目して見ておいでよって思われるかもしれないけど、やっぱ無理。何度も言うけれど、あんなにも好きな俳優さんがそこにいて、いつも「きれいで怖い目だな~!好き~!」とか言いながらテレビ画面越しに見ていた目に全身全霊の感情をこめ、というよりもむしろ、万感の思いがこもっているがゆえに深淵のような色をたたえた目をして、私との間にさえぎるものが何もなく、こちらを向いているんだよ?!?!?!いやまじ無理、あれを見返せるほどの強さ、私にはなかった…。

あまりにも大きな衝撃が自分の中に沸き起こったから、作品を楽しんでいる意識の流れとは別に、そこだけ別に思い出が1枚の絵のように生成されてしまったらしく、1回目を見終わったあと、あのまなざしの思い出は、あの神話のような瞬間は、ストーリーの中のどこでの話だったじゃろか…ヨボヨボ…みたいな記憶障害が起こってしまいました。2回目見た時、「ああ…きっとこのあたりだね…1回目の私のように本日の神席に座っているお客さん、いのちだいじに…」ってそこでようやくとっ散らかった記憶が統合されたなっていう感じでした。

 

 

今思い出せるのはこんな感じかな。

最近は、子育て業務がハードなのは相変わらず、シャバでの仕事もいろいろ加速して、自分時間をつぎこんでいろいろ勉強していかなくてはいけないことも多く、実は『IP』もついていけていないという、オタクとして自己批判が必要な状態ではあるのですが、今回、心底思ったことは、舞台にいる蔵之介さんは本当に素敵だということ、そして、私も自分が53歳になるころには、この夏の蔵之介さんのように心のままに働いていられるようなそんな素敵な大人になっていたいなということです。

 蔵之介さん、そして、team申の皆様、最高の思い出をありがとうございます!