湯長谷の日記

佐々木蔵之介さんを推しています。蔵之介さんがかわいいとだけ書いてあるブログです。

映画『ひとよ』感想

ついにですけどねぇ…見ました、『ひとよ』。大体全部泣いていました。わけのわからん嗚咽をもらしっぱなしでした。家で1人で見てたからね、かまわないわ。田中裕子さんの存在感がもうほんと半端なかったです…。

『WE ARE LITTLE ZOMBIES』の時も思ったんですが、親と子の確執みたいなのがテーマになっている作品を見ると、今や完全に親側目線で見ているという事実に、自分自身のことながらまずびっくりしたりします。20代とかの若い頃に映画を見ていて、仮にこういったテーマのものを見ていたとすると、おそらく今よりももう少し全体的に俯瞰して見ていたんじゃないかなと思うのですが、その先、子供を授かって怒涛の子育て時代が始まり、なんていうか1日25時間くらい子育てに自分の時間もとい全てのリソースをつぎ込んだ生活を何年も続けていると、まずその間の記憶が完全に欠落するので、20代の私の続きが、この「人の親」になり、めっきりおばさん化した今の私という、不連続の連続みたいな状態になっているため、この自己認識の歪みみたいのが出てきてしまいます。長々と書いていますが、つまり、自分でも気づかないうちにめちゃくちゃ年取ってるわ!ということを言いたいだけです。

登場人物それぞれの思うところやら人生やらがあって、どの行動が、どの選択が正しかったのか、悪かったのか、それについてあれこれ言うことは、全部無意味な「後付け」になってしまうみたいなことなのだと思います。夫を殺したのが「度胸」だったのかなんだったのかもよくわからない、母親が聖母であったのか誰にも決められない、あの事件が子供を開放したのかもよくわからないけど、過去の出来事に意味を探しても何にもならなくて、できるのはここから先また1日1日を積み重ねていくこと…というところでしょうか。

お母さんが万引きするところとか、あまりの雑さというか衝動的というか、「そんなめちゃくちゃなことする?」と思ってなんだかおかしい気持ちになるのですが、冒頭の夫を殺害するところだって、雑で衝動的な解決方法だったのかもしれないなあと思います。

堂下さんもなかなかよかったです。息子さんと待ち合わせをして焼き鳥を食べながら待っている雰囲気、息子さんに会ったときの嬉しそうな顔とか、私はすごくやたらと泣いていました。息子さんに後部座席から怒鳴られるところとか、いやすぎる…。あー、私もいつかこんな目にあうんじゃないかな、と今から暗澹たる気持ち…。

「失敗した親達」の逃避行と、カーチェイスと、タクシー大破と、殴り合いと飛び蹴りの後、お互いが気持ちを吐露するところ、あのテンションの後にこのちょっと説明っぽいセリフ??ちょっと語りすぎでは??みたいな違和感は若干あったんですけれども全体的にいい幕引きだったと思います。

映画前半で、園子ちゃんが「堂下さんいいかも」みたいなことを言うとき、この人のだメンズアンテナも相当だな!と思いました。これも、悲しくもおかしい、三つ子の魂百まで感??

とにかく、久しぶりにこういう感じの映画をちゃんと時間とって見られてよかったです。ていうか、田中裕子さん!もうほんと、まいったなぁ。

 

eiga.com