湯長谷の日記

佐々木蔵之介さんを推しています。蔵之介さんがかわいいとだけ書いてあるブログです。

2020年4月24日『カブキ・チューン』(ゲスト:佐々木蔵之介)スクリプト3

尾上:本日はゲストに俳優の佐々木蔵之介さんをお迎えしてお送りしております。蔵之介さん、引き続きよろしくお願いいたします。

佐々木:よろしくお願いいたします。

 

尾上:さてですね、蔵之介の兄さんは本当に多くの作品にご出演なさってますけども、歌舞伎にもご出演なさってるんではないですか。

佐々木:そうなんですよ。

尾上:そうなんですよね。

佐々木:2014年『スーパー歌舞伎Ⅱ 空ヲ刻ム者 若き仏師の物語』。歌舞伎デビューしました。

尾上:これは…歌舞伎をまず以前からご覧になってたんですか。

佐々木:いや、見てましたよ、見てましたけど、見るのと出るのと全然ちゃうじゃないですか。そもそも出れるなんて思わないじゃないですか。選ばれし者じゃないですか。

尾上:これはどういう経緯で、どういう感じで話が決まったんですか。

佐々木:大河ドラマの『風林火山』で、その時亀治郎さんと、亀ちゃんと友達になって、それである時に僕のチーム申っていう自分の企画があるんだけど、パルコでやると決まってた。で、前川知大さんの演出は決まってた。作品のタイトルも内容もなんも決まってなかった。で、パルコでやるというのは決まってたんやけど、ある時に急に車でいたときに電話かかってきたんです、亀ちゃんから。兄さん、何月パルコやるんですね、なんで知ってんやろなって。出して下さいって。何も決まってへんねん、なんにもきまってへんのになんで知ってるかわからんけど、どっから入手したかわからんけど、出してくださいって。いやそれ、どういう事って。まあでも、亀治郎さん出ていただけるならって出ていただいたんですね、本も書いてね。まだ何もないのに。で、その時に僕は初めて現代劇に出るのは兄さんのとこで出たいと思ったから、そうさせてもらったって。もし次、兄さんが歌舞伎に出たいと思ったら、僕の歌舞伎で出てくださいっていわはるから、ああいいよ、別に、喜んで、二つ返事ですよ、そんなん。出ると思わないもん。やると思わない、そんなん。そんなことは起こると思わないから、そんなん言うたかどうかも覚えてないですよ、こっちは。たださあ、なんか、猿之助さんに襲名されて、それからスーパー歌舞伎という、もう何やってもいい状態ができましたみたいな。いわはりましたよねえ、あの時って。いったかもしれん、いった気もするって、ていうことで。

尾上:それでお出になるということで。

佐々木:こんなんある?普通。

尾上:もうなんていうか、すごいですよね。カブハラですよね。

佐々木:そやねえ。だから、この作品でこれっていうオファーじゃなくて、随分前に何年か前に言った話で言いましたよねっていう。

尾上:伏線はどこまでも続いていたっていう。お出になっていかがでしたか?どんなことをお感じになりました?

佐々木:なんかねえ、全然違うんですよね。僕ら…僕らいうたらあかん、僕の演劇は、もう草野球ですよ。向こうメジャーリーガーですよね。全然違う。

尾上:それは具体的にどういう…

佐々木:同じジャンルだと思ってないからね。そのくらい違ったね。でもあの歌舞伎がなぜこんなに400年続いてそして毎月いろんな劇場で毎日毎日毎月毎日1日2回続いている理由がちょっと「あ、こういうことか」っていうのが分かったのがあるね。それは、やっぱ歌舞伎には、そうなんだ、型というものがあるんだって。なぜこのお衣装を着てるのか、なぜこのお化粧してるのかっていうのは、そういうことなのか、だから毎日こういう風にできるのかって思ったり、いろいろものすごい勉強になりました。別ジャンルでしたよ。本当にね、猿之助さんにお世話になりましたね。いっぺん稽古中にメイクからできないもんだから、そもそも。できないよ。稽古中にいっぺん稽古場から離れてやってみましょうってこうやってたんやけど、どう考えてもそんなよくわかんないから、無理やし、新橋演舞場、そして松竹座全ての公演に猿之助さんに僕メイクしてもらいましたからね。

尾上:毎日。

佐々木:毎日やってもらいました。で、昼の間はメイク直さへんからね。

尾上:昼夜通して。

佐々木:ほんとにそれはお世話になったなあ。

尾上:猿之助兄さんの歌舞伎、ご一緒になさって印象に残った瞬間とか何かございますか、エピソードとか。

佐々木:いっぱい面白いこと聞いたなあ。兄さん、これ、お客様は役者を見てますからって。話もありますけど、役者を見に来てますからって。僕らこう芝居で舞台に立って、こう、話すためにこっちいったり、上いったり下いったりするけど、いや、兄さん、真ん中にいといてくださいって、ずっと真ん中にいてくださいって。周りが動きますからって。ああ、そうかそうか、そういうふうなステージングねってこととか。あと、立ち回りとか、僕らもし現代劇やったらこの立ち回りのシーンをつくるんやったら3日かかるかとか。あら、15分でできちゃったみたいな。演出の前川くんと、すごいなこれ、みんなこれ知ってんねんや、どことどれ組み合わせて順列組み合わせみたいな感じで。

尾上:パズルのピースみたいな感じですからね。

佐々木:ねえ。あ、もうでけた、でけたやんみたいになってて。そんなこととか。あとは、まあ、猿之助さん自身は演出のこともやりながらプロデューサーでもあるし、こっち側で演出席で見ながら、こうやってこうやってこうやってて、終わってはい休憩ってなったら、いろんな部署から話が来るわけでしょ。お衣装、はい、あのパンフレットのこと、とか。楽屋割りのことであるとか、ありとあらゆること。はい、休憩ってなったら、それがばーってきて、休憩もせずに、ばーっやって、はいそのまままた稽古みたいな。すごいな、ずっと一日中フル回転やなって。これか、これ座長のやることは。

尾上:猿之助兄さんは特に特殊というか、特になんでもご自分でなさって、全てに目を光らせるタイプの歌舞伎役者さんでいらっしゃることは確かなんですよね。それはあの「亀治郎の会」って、僕、蔵之介兄さんにもご覧いただいたこと、すごく覚えてるんですけど、あの「亀治郎の会」というその自主公演に僕も出させて頂いてて、間近に見させていただいて、全部を、そのプロデューサーも演者も演出も、全部やっぱりご自分でなさるっていう、視野の広さっていますか、そこでやっぱりこう習得されたんだと思うんですよね。それを猿之助歌舞伎に生かしていらっしゃるっていう、それをやっぱり多分すごく間近でご覧になってお感じになったことだと思うんですけど。

佐々木:歌舞伎界の中でも、もう四代目は違うんだ、特殊なんだ。

尾上:やっぱり猿之助歌舞伎っていうもの自体が、あのもう、一から作るといいますか、そのもちろん型はあるんですけども、その型と型の組み合わせで新しいものを作るっていうことにすごく長けているし、手作りっていうものを商品化する、手作りで商品開発するっていう感覚で、その速度と言いますか、速度がやっぱりこう頭抜けてるといいますか、他にもたくさん部署がある中で、やっぱり商品開発部っていう位置付けにいらっしゃるのが猿之助歌舞伎の素晴らしいところで。僕もそれは本当にとても刺激を受けていて。

で、あのちょっとここで曲を一曲お聴きいただきたいんですけども、この曲が『吉野山』という曲で、清元という僕の実家の家業の、清元という邦楽の音楽の曲なんですけども、この『吉野山』という曲も猿之助兄さんがよく忠信というお役でなさるんですね。で、僕、静御前と相手役と二人の踊りなんですけど、でその踊りを、猿之助兄さんと僕が静御前で踊らせていただいたことがあって、やっぱり亀治郎の会で歌舞伎役者として役者として人間力としてっていうところでものすごく刺激を受けて、自分の会で自主公演「 研の會」を始めさせて頂いたんです。その時に第1回に猿之助兄さん、やっぱり出て頂いて、静御前猿之助兄さんに踊っていただいて、僕が忠信を踊らせていただき、清元という自分の家業の実家の音楽も勉強するというところに至ったんですけど。やはりそういうお兄さんが今お感じになったような手作りで商品化してお客様に熱を持ってお届けするっていうものを僕なりにその「 研の會」で受け継ぎたいなっていう思いでさせて頂いた…なんかすごく同じこと思ってらっしゃったんだなって、僭越ながら思ったんですけど。そんなわけで、ちょっとこの『吉野山』という曲を聴いていただきたいと思います。本日最後の曲です。『清元 吉野山浄瑠璃、清元志津太夫、三味線、清元栄治の演奏です。

(音楽)

尾上:というわけで、尾上右近がお送りしてまいりました『カブキチューン』、まもなくお別れの時間でございます。蔵之介の兄さん、本日はありがとうございました。

佐々木:ありがとうございました。ほんとにこうやって話すのもはじめてで。

尾上:ええ、ありがとうございました。ほんとにこうやって事務所にはいらせていただいたのも猿之助の兄さんにご縁をいただいて、ほんとにそのご縁で事務所にお世話になり、蔵之介兄さんと先輩後輩という立場で関わらせていただいている中で、僕のマネージャーをしていただいている伊藤マネージャー、やはり、蔵之介兄さんのもとに若き日、そばにいて、そこでいろいろお感じなったことを僕に伝えてくれてるという。

佐々木:そうなんや。

尾上:なので、この事務所の中で継承というものも行われているという感覚で僕は実はけっこう蔵之介イズムというものを間接的にですけど、何か受け継ぎたいなという思いでずっといて。でも直接お話させていただく機会は今回がはじめてで、なんかこう緊張して空回りしてしまいましたけど、ほんとにそれはマネージャーに対してもすごく感謝していることで。間接的にものすごく兄さんにいつも感謝の念を抱いて、尊敬の念を抱いて、歌舞伎以外のお仕事、そして人として、俳優という広い立場として、いつもがんばっているつもりでおります。そしてこの先もそのつもりでがんばってまいりたいと思っております。

佐々木:こんな立派な後輩がいたんですね、うちの事務所には。

尾上:よろしくお願いします!

佐々木:よろしくお願いします!

(笑い)

尾上:いつ申し上げようかと思っていて、最後の最後になってしまいましたが、ほんとに直接お話しをさせていただく機会をいただきまして、本当にありがとうございました。本日のゲストは佐々木蔵之介さんでした。ありがとうございました。

(以下エンディング)

 

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